【映画】ヴィジット レビュー

どんでん返しでおなじみのM・ナイト・シャマラン監督の原点回帰とも言える今作。
白状しよう、私は見事に騙された。

私が尊敬している映画監督の一人であり、似た名前の『ヴィレッジ』なんかもお上品にまとまっていて大好きである。

しかし、だ。

あなたもご存じのように最近のシャマラン監督はパッとしないというか迷走しまくっていた。
いや、正直なところ私のようなシャマランファンには当たり前のことなのだが、シックスセンスでの評価は、世間が求めていた作品とは残念ながら乖離している。

元々この監督は『莫大な金をかけてB級映画を作りたいだけ』なのだ。

ワンアイデアを大きく広げて、宇宙人だの怪物だのと月刊ムーよろしくオカルトチックな作品を平気でぶっ込んでくる最高にクールでイカれた野郎なのである。
熱狂的なシャマランファンにはそこがたまらないのである。

例えば、『ハプニング』では唐突に人が死に出すという面白い設定だったにも関わらず、観客を煽りに煽って期待させまくったあとで唐突に尻すぼみに終わってしまう。
正直、初見では訳が分からないだろう。

だが、後日考察サイトなどで「あれは人間の数が規定の数を超えたため、地球が防衛本能で素数(割り切れない)人間を無差別に殺していった」という、意外と深い設定が判明し、私の中でも評価がガラッと変わった。

『キングスマン』でも、あのサミュエル・L・ジャクソンが演じた悪役が「人間が熱を出してウイルスを殺すように、地球も熱(温暖化)を出す。人間も殺すべきだ」と似たような設定を言っている。

では、A級の作品とB級の作品、この差は一体何なのか。

先ほど言ったとおり、シャマランはワンアイデアで作品を作り上げるタイプの監督である。
それゆえ、まとまりはあるがオチは決まっているため、どうしても規模が小さくなりがちで尻すぼみになってしまう。竜頭蛇尾とはこのことであり、シャマランのことである。

つまり、シックスセンスは過大評価なのである。
本来、ヴィジットのような評価が正しいのだ。

そういった意味で、今作は非常にシャマランらしいと言える作品だろう。
いやむしろ、シャマラン作品を観ていた人ほど騙されるのではなかろうか。

「あいつのことだからきっと宇宙人が」「あーやっぱりオカルトの」と、鑑賞中もあらゆるオチを考察するだろう。

だが、断言しよう。
だからこそオチは読めない。

そして、こんなシンプルなトリックに気づけなかったなんて、とシャマラン監督のことがさらに好きになること請け合いである。

しかし同時に、今作最大の難点が『間延びしたストーリーで基本的につまらない』ことにある(致命的)
うん、正直シャマラン監督のファンだけどつまらなくて途中は早送りした。めっちゃ早送りした。

そもそもシャマラン監督の最大の魅力は映像演出にあると考えている。
しかし今作では、『REC(レック)』や『クローバーフィールド』などでも使われたPOV(主観ショット)が使用されている。

つまり、シャマラン監督特有の常に何かありそうな背後に付きまとってくる恐怖みたいなものがまったくない。
お化け屋敷のように、その場その場で驚かすアトラクションに成り下がってしまっている。
この時点で面白くないのはわかりきっていた。

なら観なくていいのかと言われると悩みどころである。
先ほど言ったとおり、これこそがシャマラン監督の原点であり復帰作といっても過言ではない。オチも非常に秀逸である。
しかし、シャマランを知らない層にはウケないだろう。
きっとこの映画はシャマラン監督の‘背景を知っている’ファンしか面白いと感じない。

まあその、あれだ、
『ギャルゲーのあとに作られたファンディスク』みたいなものだから……。

【評価】★★★★☆☆☆☆☆☆ 4/10